「治療してもらって軽くなったのに、しばらくするとまた同じところが痛くなる」——スポーツをする方から、とてもよく聞くお悩みです。じつはそこには、[[痛む“場所”と、痛みの“出どころ”は同じとは限らない]]という考え方が関わっています。今回は野球肘を例に、うたたねのスポーツ鍼灸の考え方を整理してみます。
「痛い場所=原因」とは限らない
打った・ひねったといった外傷を除くと、痛む場所そのものが原因とは限りません。多くの場合、別の場所の動きにくさが、痛む場所に負担を集めている——そんな“連動”のなかで痛みが起きています。
だから「痛いところを揉む・そこに鍼を打つ」だけでは、その場は軽くなっても、原因が残っていればまた同じところに戻ってきます。うたたねが原因の見立てから始めるのは、このためです。
野球肘で考えてみる
たとえば、野球選手が肘の痛みを訴えたとします。もちろん肘そのもののケアも必要です。ですが同じくらい大切なのが、「なぜ肘に負担が集まったのか」を考えることです。
背中が丸まり、肩が前へ出た姿勢のまま投げようとすると、肩関節の可動域が下がり、腕を正しく上げられません。すると動きの連動が失われ、いわば“肘で投げて”しまい、肘に負担が集中します。
この状態で肘だけを施術すると、肘は軽くなって“しなり”が戻り、かえって靭帯や軟骨に負担がかかることさえあります。慢性の腰痛や肩こりも同じで、動いていない場所を別の場所がかばい、そこに負担が偏ることが少なくありません。

うたたねの見立て方
- 01
経緯をくわしく伺う
いつから・どんな動きで・どこが痛むのか。競技や練習量、フォームの変化なども含めて確認します。
- 02
姿勢・動作・可動域を診る
立ち方や投球動作、肩・股関節などの動く範囲を確認し、負担が集まっている場所を見立てます。
- 03
“出どころ”に手を入れる
痛む場所のケアに加えて、原因と見立てた場所の動きを鍼灸・手技で整えていきます。
- 04
動きづくり・セルフケアまで
整えた状態を保てるよう、可動域づくりやご自宅でできることをお伝えします。
「その場しのぎ」で終わらせないために
早く楽になりたいお気持ちは、痛みがあるほど強くなるものです。それでも、原因を見立ててから手を入れる遠回りが、結局はくり返さないための近道になることがあります。
鍼と、マッサージやストレッチはどう使い分けるのですか?
どちらが良い・悪いではなく、役割が違います。鍼灸で深部にアプローチし、手技やストレッチで動きを整える——状態に合わせて組み合わせます。まずは見立てのうえでご提案します。
おわりに
痛みは、からだからの「使い方を見直して」というサインのことがあります。痛い場所を追いかけるより、その“出どころ”を一緒に見つけていく。うたたねは、プロスポーツの現場で培ったこの視点を、垂水の地で大切にしています。
Author

梶原 康生
はり・灸 うたたね 院長/JSPO-AT・はり師・きゅう師
2003年からプロスポーツ選手の治療・コンディショニングに携わり、2009年に神戸・垂水で「はり・灸 うたたね」を開院。痛い場所ではなく“原因”から見立てるスポーツ鍼灸を行っています。
読んでくださって、ありがとうございます。
からだのことは、どうぞ直接ご相談ください。


